2010年7月23日金曜日

鏡の中の鏡

この鏡は、一般的な鏡に施されている無駄な要素を取り除くことによって生まれました。

運搬中の緩衝機能は、段ボールの梱包材が十分に果たします。
また、万が一の破損を想定し、背面全体に飛散防止シートを貼り込み安全性を確保しました。

無駄な装飾は排除し、大胆にも、鏡の中に鏡(どこかで見たことのあるような、普遍的イメージの鏡)をダイレクトにシルクプリントしました。
そこには、面影としての鏡の残像が、その前に立つ人と共に映し出されます。
それは外的な装飾ではなく、鏡の中の変化するイメージの一部となるニュートラルな面影なのです。



「MIRROR ON MIRROR (鏡の中の鏡)」

一般的に、鏡は額縁に収まっていますが、あの額縁は本当に必要なのでしょうか?

破損を防ぐため?
確かに側面からの衝撃は防ぐことは出来るでしょうが、
鏡が側面からの衝撃を受ける危険性のあるは、主に運搬や移動中の事です。
一旦定位置に据えた姿見は、そう頻繁に動かすものではありません。
つまり、工場から皆様の家に届ける為の緩衝材の役割が大きいと言えます。

鏡を装飾するため?
鏡というものは、そこに映し出されるものや風景によって、イメージ(色や絵柄)が常に変化するものです。
絵画や写真のように、一つの固定したイメージを保つものではありません。
常に変化するイメージに対して、固定した装飾を施すということは危険なことです。
場合によっては、そこに映し出されたイメージを侵食しかねないのです。
つまり、鏡はニュートラルであってこそ、その機能を十分に引き出すことが出来ると言えます。

by Sebaschan

1 件のコメント:

  1. 「鏡の中の鏡」で自分の姿をみると、実像と虚像の間にいるような不思議な気持ちになってくる。

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